事例|データを誰にとっても身近なものにする|株式会社Srush

人力でなんとかなる地方企業こそ、今データ活用を。東武住販が踏み出す第一歩

作成者: 株式会社東武住販|Sep 30, 2025 2:00:01 AM

 

データなしでも回るからこそ、今始める運用

── 不動産業でデータ活用の必要性を感じた背景をお聞かせください。

桐畑:不動産業は少ない件数に対して単価が高いこともあり、人力でなんとかなる部分が大きくあります。人の記憶に頼ったり、仮にバイアスが入ったとしても結果的に上手くまとまったり、また当社においては、創業者でもある社長の感覚が、時にデータよりも正確だったりもします。そうすると、データ活用に対して費用をかけようということにそもそもなりません。

ですが、長期的な事業発展を考えると、人力でやり切れる今のうちに手をつけておいた方がいいのではないかと感じていました。エラーを見つけるためにも規模が小さいうちに始めることを重要視し、コスト的にも規模的にもスモールスタートを前提に考えていました。

 

── データ活用においてはどういった課題がありましたか?

桐畑:大きく2つの課題がありました。一つは基幹システムのデータの効率的な可視化です。SQLサーバーのデータを直感的に見せる手段がなく、素人にはとっつき難い状態になっていました。もう一つは、会計情報と基幹システムのデータをリンクさせて相互分析することが、Excelでは手に負えない規模になっていた点です。

:以前は基幹システムからダウンロードしたデータをExcelに落とし、関数だらけのシートに貼り付けて加工していました。月2回の作業でも、整合性が取れない場合は店舗に電話確認して反映するなど、半日では終わらないことが多くありました。

 

── Srushを選んだ決め手は何でしたか?

桐畑:さまざまなBIツールを検討してきましたが、綺麗に見せるだけのものやひたすらデータを放り込むだけのものなど、単体機能のものが多いように感じました。データをつなげ、自分たちがやりたいことを一つのソリューションで完結できるものを探したときに、機能的な候補として残ったのはSrushともう一社でした。

荻野:もう一社の候補は外資系かつ開発思想が大規模のユーザー向けで、金額も桁が2つくらい違っていたため、現実的に検討が難しい状況でした。ETL、データウェアハウス、BIが一つのツールで完結し、必要な機能がすべて揃っていたこと。そして、私たちの課題感にちょうどフィットしたのがSrushだったんです。

 

 

専門知識ゼロの現場でも、楽しくデータ構築できる理由

── 実際の導入プロセスはどのように進められましたか?

桐畑:最初は基幹システムの取引データを会計システムと繋ぐことがメインの目的でした。IR用のデータも、今までは会計システムからしか取れませんでしたが、基幹システムのデータを使うことで、物件の所在地や担当店舗のエリアを詳細に切り分けられるようになりました。

:私は元々データベースの知識が全くなく、Excelの基本的な関数レベルしか知りませんでした。ワイド型、ロング型というデータ形式すら分からない状態でしたが、担当者の方に相談させていただいたり、マニュアルでデータの取り扱いを最初から学べたので、抵抗感なく業務に取り掛かることができたと感じています。

  

── 導入時に不安だったことはありますか?それをどう解決しましたか?

桐畑:一番不安だったのは、データを可視化することの難易度でした。グラフで可視化したり、地図に置いたりという経験が、材料として自分の中にないことが不安でした。人が作ったものを見て綺麗だと思っても、目の前のデータにおいてはお手上げ状態だったんです。

ですが、Srushの担当者がサンプルを見せてくださったり、AmazonQuickSightのサンプルサイトやハウツーをまとめたサイトも送っていただいたりと、丁寧なやり取りの中で導入を進めていけたことが非常に助かりました。

  

── Srushのサポートで印象的だったエピソードをお聞かせください。

桐畑:最初は二週間に一回、その後は月一回程度のミーティングでした。私たちがやりたいことや課題を整理していただいて、取り組みのプロセスや方向性を細かく導いてもらいました。マイルストーンによって全体的な方向性が見えてきたからこそ、目の前のものをひとつずつクリアしていけば先に進めるという安心感を持つことができました。

ミーティングで、データ活用の取り組みが社内で広がらないという悩みを相談した際には、社内でこういう機会を作るといい、こんな方向性で話を進める会社も多いなど、他社事例を交えたアドバイスをいただけたので、理解もしやすく進めやすかったです。

 

── チャットでのサポートはどのように活用されましたか?

:チャットサポートはレスポンスも早くて的確で、本当に助けていただきました。まずは言われたことをそのままやってみると、すいすいと作業が進んでいきます。初心者だからこその質問を多くしていますが、それにも丁寧に答えていただきました。

最近はパラメーターの機能がやっと理解できて使えるようになったんです。SQLを書かないとできないと思い込んでいたことが、ノーコードで自分でもできるようになって、本当に楽しくてやらせていただいています。

桐畑:当初は第一フェーズができるまでは隔週でご支援いただいて、その後は月一程度で確認していくというサポートの頻度も良かったなと感じています。大まかなディレクションをフェーズ分けして、具体的かつ技術的な部分はチャットで対応という役割分担も、私たちには効果的な支援体制でした。

 

小さな一歩が大きな変化へ。地方企業のデータ活用の可能性

── 実際に使い始めて、どんな成果が出ていますか?

桐畑:有価証券報告書の集計作業が、今まで半日かけてExcelで作成していたところ、数分で終わるようになりました。まだ始めたばかりですが、確実に効率化は進んでいます。

:月2回の日次管理業務も、12月からは完全に移行予定です。整合性チェックで店舗に電話確認することもなくなるため、作業量は確実に減っていく見込みです。

荻野:Excelの関数が壊れてないか心配しながら作業する必要がなくなるため、精神的にも楽になってきたと感じています。

 

── 地方の中小企業がデータ活用に取り組み始める意義をどう捉えていますか?

:個人の力が大きい分、経験や失敗が会社の知識として蓄積されていないケースは多くあります。新しい人が入ってきた際にデータという形で共有できれば、人に頼りすぎない持続的な経営ができるようになると考えています。

桐畑:まだ規模が小さく人力でなんとかなるフェーズだからこそ、データのエラーも見つけやすく修正もききます。これが大きくなってからでは手遅れになってしまう。中小企業ならではのスモールスタートで、できることから始めるには、今がまさにデータ活用に取り掛かるタイミングではないでしょうか。

  

── 今後データ活用をどのように発展させていきたいですか?

:現場の営業の方々は、どの案件が成功した、上手くいかなかった、という感覚を持っていますが、会社全体としての知識にうまく結びついていない状況です。これから年齢層が上がって引退される方が出てきた時、データがあれば会社が蓄積してきたものを共有できる。人の力とデータの相乗効果が発揮できる形を作りたいです。

荻野:平均年齢でいうと今は40歳超えくらいで、徐々に上がりつつあります。若い人も入ってきてはいますが、やはり個人のナレッジとして蓄積されていくことが多い。会社の資産としてデータを残していくことは、組織の持続性という意味でも重要だと考えています。専門人材がいなくても、予算が限られていても、データ活用の第一歩は踏み出せる。まずは私たちが、それを証明できればと思っています。

桐畑:不動産業では物件選定の目が甘かったり、リフォームが残念だったりと、みんながそれぞれ失敗を経験していきます。その失敗をデータからも学べるようになれば、人の成長も店舗展開のスピードも早くなる。データでわかるところはデータを通して効率的に管理し、人間しかできないところだけを人間がやる。そうすることで事業展開のスピードは間違いなく早くなっていくと思います。

 

株式会社東武住販

  • 会社名:株式会社東武住販
  • 所在地:山口県下関市岬之町11番46号
  • 代表取締役社長:荻野 利浩
  • 事業内容:不動産売買 仲介・買取販売、賃貸仲介・管理、不動産関連保険・空家管理、介護福祉
  • コーポレートサイト:https://www.toubu.co.jp/