営業戦略・マネジメント

カスタマーエンゲージメントとは?営業が顧客との関係を深めるために

カスタマーエンゲージメントとは?営業が顧客との関係を深めるために 営業戦略・マネジメント

カスタマーエンゲージメントは、営業手法や対象を問わず、成約率に大きく関わる重要な指標の1つです。今回は、カスタマーエンゲージメントを獲得するメリットとその獲得方法、成功事例などを紹介します。営業パーソンのキャリア形成においても、重要な概念なのでぜひ理解を深めてください。

カスタマーエンゲージメントとは何か

カスタマーエンゲージメント(CE)とは、顧客と信頼関係を構築して自社の商品やサービス、提案、印象に対する満足度を高めることです。法人営業であれば「企業間同士の関係性、信頼性」、個人営業は「企業とユーザー(消費者)の関係性」を示すことが一般的です。しばしば顧客満足度(CS)と混同されることがありますが、こちらは提供するサービス・商品のみを対象としており、企業との関係は含まれないケースが多いです。また、カスタマーエンゲージメントの方がより収益性と連動しているという違いがあります。

また、カスタマーエンゲージメントはマーケティングの分野でも重視されていて、SNSやメルマガなどを通じた「CEM(カスタマーエンゲージメントマーケティング)」も盛んに行われています。

営業活動におけるカスタマーエンゲージメント

個人向けの商品やサービスを展開している場合、カスタマーエンゲージメントを高めて消費者を「ファン化」できると、SNSや口コミで情報を拡散してくれることも期待できます。このようなデジタル世代の購買プロセスである「5A」のうち、最終段階の「奨励(Advocate)」高めるためにもカスタマーエンゲージメントは重要な要素です。

※5A:「認知(Aware)」→「訴求(Appeal)」→「調査(Ask)」→「行動(Act)」→「奨励(Advocate)」の略語で、奨励まで消費者の行動が進めば、顧客自身で周囲にサービスを周知してくれる好ましい状態になります。

また、法人営業・ルート営業は、既存顧客との関係性を深化できると取引を維持するだけでなく、新規の提案を受け入れられやすい状況づくりとしても欠かせません。このように営業の種類や手法に関係なく、カスタマーエンゲージメントは個人・会社の利益や売上の向上につながります。

カスタマーエンゲージメント獲得のメリット

カスタマーエンゲージメントを獲得すると、商品やサービスの「付加価値」や競合への「優位性」、「5Aの促進」などのメリットがあります。

商品・サービスに付加価値を付けられる

商品やサービスの本来の機能に加えて、カスタマーエンゲージメントを高められると「好感・信頼」という付加価値も付け加えられます。この結果、サービス・プロダクトのリピート率や継続率、購買率向上につなげられます。

競合への優位性を高められる

ルート営業や法人営業では、顧客の課題に対して複数の企業が提案や自社の商品・サービスを売り込むケースは珍しくありません。機能・価格などが他社と並列だった場合、カスタマーエンゲージメントが高ければ自社の提案などをプッシュしてくれる可能性が高まります。このように競合他社に対して、優位性を高められるのもカスタマーエンゲージメントを獲得する大きなメリットです。

「行動」から「奨励」への促進

デジタルでの販売やコミュニケーションが主流になると、従来の消費プロセス「AIDMA」や「4A」から、アメリカ合衆国の経営学者フィリップ・コトラーが提唱した「5A」を重視する企業が増えつつあります。

同氏は5Aでも特に重要な行動から奨励に移行するには、消費者との親密さが重要と説いており、カスタマーエンゲージメントはその促進に直結します。

カスタマーエンゲージメントを獲得するために

企業のカスタマーエンゲージメントを高めるには、SNSやチャットボットなどによるユーザーのコミュニケーションやカスタマーサービスの強化、メルマガによる情報発信などによる定期的なフォローが中心となります。

その際に注意すべきなのは、顧客は自社よりも情報弱者ではなく、むしろ自社でも知り得ない情報を持っているケースがあることです。特にB2Bの営業の場合、顧客をフォローする際は知りたい情報を収集してその精度を上げるように意識しましょう。また、連絡するタイミングも重要で、精度が低い情報を頻繁に発信していると捉えられると、逆にカスタマーエンゲージメントが低下する恐れもあります。

カスタマーエンゲージメントの計測

カスタマーエンゲージメントは、「リピート率」や顧客・収益ベースの「解約率(チャーンレート)」などの顧客が実際に起こしたアクションの指標を複合的に判断して導き出します。またWebを利用したサービスでは、NPS(親しい人への推奨度)という指標が広く活用されています。NPSは以下の3ステップで計測可能です。

NPSの計測方法

1.「この商品(サービス)を親しい友人に進めたい気持ちはどのくらいですか?」という10段階評価の回答に、顧客に回答してもらう。

2.9~10(推奨者)、7~8(中立者)、0~6(批判者)の3段階に分類する

3.推奨者の割合-批判者の割合=NPS

このような数値を利用して、カスタマーエンゲージメントを計測。さらにアプローチの方法などのPDCAを回していきます。業務効率や計測の継続性、正確性を向上させるためにSFAを利用することが一般的です。

カスタマーエンゲージメント獲得の成功事例

B2Cビジネスのカスタマーエンゲージメントよるマーケティング戦略事例といえば、スターバックスの「商品にメッセージを書く」やWEBサイト「My Starbucks Idea」を介した双方向のコミュニケーションの創造などが代表的です。

そのほか、あらかじめクリック数などのエンゲージメント計測機能が搭載されているTwitterやInstagramなどを利用してPDCAを回しながら、メーカーが直接、消費者の「ファン化」に取り組む事例も増えています。

このような取り組みは、顧客と消費者の間に相互信頼関係(ラポール)の構築が大きなポイントの1つです。B2Cの営業やサービスにおいては「笑顔」、「楽しい会話」、「気配りのある顧客サービス」、「知識共有」などの行動が効果があることが明らかになっています。また、これは法人営業においても多くは共通するとも考えられます。その具体例を紹介します。

※出典:明治大学学術成果リポジトリ「カスタマー・エンゲージメントの本質

法人営業における「笑顔」と「楽しい会話」

法人営業であっても、対面するのは営業マンと担当者なので笑顔や楽しい会話による信頼感の重要性はサービス業と変わりません。また、楽しい会話や体験を共有できる「下準備」も大切です。例えば、メガネやアパレル関係などのメーカー、小売店が顧客の場合、その商品を訪問時に身につけていったり、担当者の好みの料理をリサーチしてランチに誘うことで信頼関係を構築する営業マンもいます。

また、対面する際に相手にマイナスな印象を抱かせないことも大切で、非喫煙者の場合は必ずタバコの臭いを消して訪問する人もいます。

これらの取り組みが案件の受注に直結するケースは少ないですが、信頼関係の土台を築くうえでは重要なポイントになるでしょう。

法人営業における「気配りのある顧客サービス」

法人営業における気配りのある顧客サービスとは、取引先の企業・担当者にとって手間や負担が少ない提案などを行うことです。例えば、決裁権者が窓口の担当者の上長の場合、そのまま提出できるクオリティの資料を共有したり、話を円滑を進めるために自社の上司などを利用するケースもあります。また、仮に提案が通らなかった際にすぐにフォローできる体制を事前に整えておくことも「気配りのある顧客サービス」といえるでしょう。

プロダクト営業の場合、顧客の決裁が下りる前に自社の商品を製造、発送しなければ納期に間に合わないこともあります。その場合、リスクや自社の負担を受け入れて顧客の都合を優先することも1つの顧客サービスといえます。

法人営業における「知識の共有」

取引先の企業や担当者が知らない知識を共有することは、信頼を獲得するうえでとても効果的です。一般的には競合他社のまだ世の中に出ていない情報のリークなどがイメージされがちですが、取引先の社内の別部署の要望や製品に関する意見、抱える課題なども窓口の担当者にとっては貴重な知識の1つです。秘匿性の高い情報を共有できれば信頼関係は高まりやすくなりますが、少なからずリスクもあるので取り扱いには注意が必要です。

顧客との関係構築手段は様々。機転と度胸、根回しが重要

法人営業における理想的な顧客との関係性は、顧客の予算やタイミングに関係なく受注できる状態です。そのために、デキる営業マンは色々な根回しや策を講じて、カスタマーエンゲージメントの向上を図ります。

法人営業の関係構築手段の実例

・担当者の好みのアイドルのノベルティや話題を提供

・飲みや夕食よりもランチの誘いを優先する(ランチは必ず取るため)

・ランチを一緒に取るため、相手先の社内食堂に入れるように根回しする

・担当者が喫煙者の場合、喫煙所で会話の機会を設ける。また、同じ銘柄のタバコを持参する

・担当者の家族に贈り物を渡す

上記の実例は、法人営業における関係構築のためのほんの一部の手段に過ぎません。どのように良好な関係を築くかは、法人営業の「気付き」による機転と競合他社がやらないことをやる「度胸」、そしてそれを実行するための「根回し」が大切です。

近しい概念との違い

カスタマーエンゲージメントと混同されがちな「ロイヤリティ」と「カスタマーサクセス」について、それぞれの概要と違いを明確にしましょう。

ロイヤリティ

カスタマーロイヤリティは「顧客の忠誠心」と訳され、顧客からの一方的な信頼・愛着を図る指標です。新商品を必ずチェックしたり、話を必ず聞いてくれる顧客はロイヤリティの高い人だといえます。ロイヤリティの計測は、先述したNPSやアンケートなどの顧客の感情を計る調査が中心となり、カスタマーエンゲージメントのように行動を参照にすることはありません。

カスタマーサクセス

「顧客の成功」というカスタマーサクセスは、能動的なサポートによって自社のサービス・商品の購入者の利益や成果を実現。自社の収益と両立を目指すための取り組みです。サブスクリプションやルート営業など、継続的な取引の場では特に重要とされており、商品やサービスを提供、提案する時点で顧客の成功に必要なプランを想定して導く必要があります。

それぞれの違い

ロイヤリティは顧客からの一方的な感情を示す指標であり、双方向の関係性を表すカスタマーエンゲージメントとは、似ているようで概念が異なります。カスタマーサクセスは、エンゲージメントを高めるための1つの要素です。

カスタマーエンゲージメントの計測にはSFAが必須

消費者に対するカスタマーエンゲージメントの施策や事例は豊富ですが、法人営業・ルート営業の具体的な手法などは営業担当者の経験・知識・考え方による部分が多く、未だにブラックボックスになっているケースが顕著です。SFAを導入する際も、カスタマーエンゲージメントに対して正しくアプローチできる機能が備わっているかも重要な判断基準です。

例えば、セールスエンゲージメントツール「Srush」は、商談前の連絡から商談後のフィードバックまで自動的に計測してスコアリングします。カスタマーエンゲージメントを計測するだけでなく、その後のアプローチ先まで提示してくれるので、顧客との関係構築に悩んでいるルート営業にとっては心強い味方になるでしょう。

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